対話や豊かな生活を生み出す!『Design Ship 2024』で出会った、印象的なノベルティ#Designship2024
「広がりすぎたデザインを、接続する」というコンセプトのもと、デザイン領域における国内最大級のカンファレンス『Design Ship 2024』が2024年10月に開催されました。
最新のデザイントレンドを学び、第一線で活躍するデザイナーのノウハウを吸収できる貴重な機会に立ち会いたい!という一心で、ノベルティカフェも早速潜入することに。
ここでは、『Design Ship 2024』で受け取ったアイテムの中で記憶深いものをいくつか紹介しながら、印象に残るノベルティに共通する3つのポイントを考えていきます。
国内最大級のデザインカンファレンスで出会った、印象的なノベルティ
2018年の開催から、毎年2,000名以上が参加する同イベント。2024年も大きな賑わいを見せ、デザインに関するトークセッションも大盛況でした。
デザインに特化したイベントということから、各企業ブースで提供されるノベルティにも工夫を凝らした取り組みが目立ちました。
ここからは、特に印象的だった4企業のノベルティをピックアップします。
医療×デザインで企業の独自性を表現:エムスリー株式会社
こちらは医療業界で、医師の人材プラットフォームから開業支援まで、医療DXを幅広く手がけるエムスリー株式会社さんのブースで見つけたノベルティです。
正直、今回のイベントで一番印象に残ったノベルティかもしれません!
手に持っている紫色のアイテムは、シャーレ風のケースに入った京飴。奥の試験管をモチーフにした容器に入っているものは、金平糖です。
ノベルティの配布方法:SNS公式アカウントフォロー
見た目も鮮やかで、医療というサービスにもマッチしたノベルティは、思わずSNSでシェアをしたくなるデザイン性の高さ。
ノベルティについて詳しく話を聞くと「デザイナーには、アイデアを生み出すために糖分が必要だから」と、今回参加するデザイナーに配慮した遊び心のある言葉が飛び出しました。
今回の来場者であるデザイナーに合わせたノベルティで、かつ受け取った人の負担にもならない「消え物」であることもポイントのようです。
さらに興味深かったのは、パッケージのステッカーは、社員のみなさんが手作業で貼ったというお話。大規模なDX企業でありながら、細部まで人の手が行き届いているその姿勢に、企業としての誠実さを感じずにはいられません。
調べてみたところ、昨年の『Design Ship 2023』での金平糖の制作秘話が公式サイトに載っていました。
企業としての真摯な姿勢がノベルティを通して伝わってきて、ますますエムスリーさんに興味が湧いています…!
“豊かな時間”を考えるきっかけに:株式会社タイミー
会場で一際目を引く鮮やかなイエローが印象的なブース。
2024年夏に東証グロース市場へ上場を果たし、勢いを増す株式会社タイミーさんの空間にもお邪魔しました。
ノベルティの配布方法:「あなたにとって豊かな時間とは?」という問いに答え、ガチャを回す
タイミーさんのブースでは、ノベルティを受け取るまでの過程自体が、来場者の心に残る体験として設計されていました。
まず目に入るのは、色とりどりの付箋が貼られた壁面。
そこでは「あなたにとって豊かな時間とは?」という問いかけに、来場者それぞれが思い思いの言葉を記していきます。
この問いに答えることで、ノベルティを受け取るガチャを回すチャンスが訪れるのです。
ノベルティとして用意されていたのは、メガネやデバイスのクリーニングに使えるマイクロファイバークロスをはじめ、紅茶パックセット、にぎにぎストレスボール、タンブラーなど、日常的に使えるものばかり!
グッズ選定の意図を聞いてみると、タイミーのビジョンである「一人ひとりの時間を豊かに」に基づいて、毎日を豊かにするアイテムをセレクトしているとのこと。
スキマバイトのマッチングだけでなく、働く人の日々に寄り添いたい。そんな企業としての思いが、ノベルティの選定にもたしかに反映されていますよね。
そして、このマイクロファーバークロスにうつっているキャラクターは、タイミンくんというらしいです(笑)。
ノベルティを通して企業・サービス理解につながっていくことを体感した瞬間でもありました。
アイディアを刺激するドリンク:株式会社グッドパッチ
「飲むと、良いアイディアが降ってきますよ」
そんな言葉が印象的で思わず立ち止まったのは、ReDesigner(リデザイナー)という、デザイナー特化のキャリアプラットフォームを運営する株式会社グッドパッチさんのブースでした。
グッドパッチさんのノベルティは、発想を刺激する「エナジードリンク」。
サービスカラーの赤も、存在感抜群です!
ノベルティの配布方法:ReDesignerへのサービス登録
ここではReDesignerへのサービス登録をすると、その場でくじが引けるという仕組みになっていました!1等は2万円分のお食事券。その場で当たっている人もいたので、ブースが賑わっていた印象です。
参加賞は、今回いただいたレモネード風味の炭酸飲料。
荷物はやや重くなりますが、他のノベルティとは被らない「飲み物」は、会社に帰ったデザイナーの間でも話題になりやすいと思います!
それに、飲食物ならゴミ箱にそのまま捨てられることが少ない。飲食物は誰もが楽しめる上に、ブースを回って疲れていた人の癒しにもなるアイテムですよね。
デザイナー同士が共感し、対話が生まれる:モリサワ
最後は、日本国内でトップシェアを誇る、株式会社モリサワさんです。ブースには、デザイナーの心に刺さるメッセージが約20種類、ステッカーとなって並んでいました。
ノベルティの配布方法:共感できるものがあれば自由に持ち帰りOK
「デザイナーとして共感したものを、自由に選んでください」という案内に促され、上記のようなステッカーを手に取りました。
…「いい感じで」という言葉は、デザインに携わったことがある方なら一度は言われたことがあるのではないでしょうか?
ステッカーを選びながら、モリサワのデザイナーさんと思わず会話を弾ませる方々も見え、このステッカーが、デザイナー同士のコミュニケーションを促すツールとしてしっかり機能している様子がうかがえました。
さらに、帰社後に社内のデザイナー同士で会話が生まれるきっかけにもなりますよね。その場限りではない、ノベルティを受け取った先でも対話を生むノベルティだと感じました。
印象的なノベルティを生み出す!3つのポイント
ここまで、同イベントで出会った印象的なノベルティを見てきました。そして、これらのノベルティには、ある共通点があります!
まずは「なぜこれを選んだのか」という、アイテム選定における意図の明確さです。
エムスリーさんの医療現場を想起させる試験管型パッケージや、タイミーさんの”豊かな時間”に寄り添うアイテムたち。そこには、企業が伝えたい想いが、商品選定の段階から色濃く反映されていました。
この意図は、ノベルティを通してしっかり伝わる上に、意図が明確であればあるほど受け取る側の印象に強く残るとも言えそうです。
そして、受け取るまでの「体験」が丁寧に設計されているという共通点もあります。
グッドパッチさんの抽選システムや、タイミーさんの「豊かな時間とは?」という問いかけ。
イベントが単なるノベルティ配布の場ではなく、その企業への理解や共感を深める機会として、わずかな接点を最大限に生かすためにノベルティを活用していました。
最後は「その後」までを見据えた設計です。エムスリーさんが選んだ”消え物としてのノベルティ”や、モリサワさんの共感を呼ぶメッセージ。そこにはSNSでのシェアを誘発したり、対話を生み出したりと、受け取った後の行動まで想定されていたように思います。
一時的な「認知」以上の価値を、ノベルティが生み出しているように感じられました。
一方でサービス登録後に営業のメールや電話など、過剰なコミュニケーションがとられると、企業イメージが下がってしまう可能性があります。また「なぜこのノベルティを選んだのか」という説明が不足したまま、価値ある商品を配布すると、せっかくの機会を活かしきれない場合も…。
コミュニケーションの頻度や、商品選定の意図伝達は、より慎重な設計が必要かもしれませんね。
ノベルティは、お客さまとの関係構築の入り口
『Design Ship 2024』での体験は、改めてノベルティの可能性を考えるきっかけとなりました。
ノベルティとは単に「配るもの」ではなく、企業と受け手の対話を生む重要な接点になり得る。そして、丁寧な仕掛けづくりはノベルティを受け取った方にしっかり届き、一時的な認知から、より深い関係構築へと繋がるのですね。
今後のノベルティ制作にさらに希望を持てる、気づきの多いイベントでした。