蕎麦打ち体験から学んだ、ものづくりの本質- ノベルティ制作におけるクラフトマンシップ
先日、蕎麦打ち体験をしてきました。
お蕎麦は大好きですが、食べる専門。とはいえ、ものづくり大好き人間としては、実は蕎麦打ちにも興味がありました。
今回、ふとした会話から「蕎麦打ちをしよう!」ということになり、ノベルティカフェのメディア運営担当3人で一緒に体験してきました。
「クラフトマンシップ」という言葉があります。
職人技と訳すことができますが、日本語の職人技という言葉がそうであるように、単なる技だけではなく愛情を持ってものをつくり上げる精神や、ものづくりへの哲学までも含んだ言葉です。
私は、蕎麦打ち体験を通じて、この言葉がずっと頭に浮かんでいました。
体験のご紹介をしながら、見ていきたいと思います。
ベテランの職人さんから、直接手解きが受けられる蕎麦打ち体験
訪れたのは、東京は台東区谷中にある「蕎麦やなか」さん。この道40年のベテラン職人の旦那さまと、お店を切り盛りする奥さまのご夫婦で営んでいるお店です。
当日は、曇りながらもじっとりとまとわりつくような暑さでした。
店内に入るとすぐに冷たいお茶を出してくださり、人心地つくことができました。
前かけと上衣(体験費に含まれています)を身につけて、いざ体験!
まずは蕎麦の歴史や蕎麦の実が粉になるまでのお話を伺います。これがもう知らないことの連続でした。
実は蕎麦がロシアやヨーロッパでも食されているなんて知っていますか?生産についてもロシアが世界一、続いて中国で、日本は9番目なのだとか。
各国では蕎麦の実の状態のまま食べられるのがほとんどで、粉状にした上に麺の状態にしていただくのは日本だけなのだとか。
日本で、今の蕎麦打ちのスタイルが確立したのが江戸時代。
その頃から、今まで、守り受け継がれてきたのが江戸蕎麦なのだそうです。
粉にした後に、どの部分を使うかで蕎麦の色合いや舌触りなどが変わってくるというのは、なんとなく知っていましたが、安く提供されている蕎麦は外側の部分を多く含んでいるのでグレーっぽく、中央部分を使うほどに白くなるのだそうです。
ちなみに江戸の将軍様は、蕎麦の実の真ん中部分、真っ白なお蕎麦を召し上がっていたのだそうですよ。
別で田舎そばと呼ばれるものは、いわゆる田舎で家庭で食べるための蕎麦打ちなので、当然ながら粉を部分(色)ごとに分けたりせず全て使ってつくるとのことです。
お勉強の後はついに体験。
粉に水を入れて混ぜて、練っていき、伸ばして切る。言葉にするとこれだけなのですが、あらゆる場面で先人の工夫と職人技が見られました。
ものすごく丁寧に、しかしちょっとスパルタに教えてくれるので、素人でもなんとか少しやってみた感覚を得ることができます。
説明も体験も、ご夫婦がしてくださるのですが、蕎麦への愛、蕎麦文化を守ろうという心がひしひしと伝わってくる時間でした。
実はこの体験は、もともとインバウンド向けにはじめたそうですが、日本人も参加するようになると、日本人でも蕎麦のことを知らないことに驚いたのだとか。今では日本人の比率の方が増えているそうです。
最後は、打ったお蕎麦とお店で提供しているお蕎麦の食べ比べ(そば豆腐・天ぷら・デザート付き)、打ったお蕎麦のお土産までついた、大変に満足度の高い体験でした。
体験から感じたクラフトマンシップ
私が体験を通じて感じた、蕎麦打ち職人のクラフトマンシップについて書いてみます。
【熟練の技】クラフトマンシップは、高い専門技術と経験に支えられています。体験では、私たち素人の慣れない手捌きを丁寧にサポートしてくれたご主人。時折難しい工程は、見学になるのですが、それは素晴らしい作業でした。
素早く的確な手作業から、美味しく美しい蕎麦が生まれています。
【素材への理解】ただつくるだけでなく、職人は使用する素材の特性を深く理解し、その特性を最大限に生かす方法を考える必要があります。
先ほども少し触れましたが、蕎麦の実の産地へのこだわり、挽き方、配合の仕方など、明確に意思を持って選択されたものでした。
【創造性と個性】技や素材の素晴らしさだけでなく、さらに発展させてオリジナリティを出していく必要があります。やなかでは、蕎麦粉を仕入れるのではなく店頭の石臼で挽いていました。江戸前の技術をお店で美味しく提供するための工夫が凝らされていました。
【持続可能性】近年、サステナビリティはあらゆる分野で求められるポイントです。これはクラフトマンシップにおいてももちろん言えること。自然な素材を使い、伝統的な技法で生み出される蕎麦は、まさにサステナブルな食事といえます。
体験の途中、蕎麦を打つ時にくっつかないように打ち粉をするのですが、余った粉を専用の箒とちりとりで集め、再利用する様子が見られました。
ノベルティやオリジナルグッズ制作もクラフトマンシップを持って
ノベルティやオリジナルグッズの制作にも、クラフトマンシップが必要だと考えています。
いわゆる「バラマキ」と呼ばれるような、ノベルティの多くは、誰彼構わず配られ、捨てられてしまいます。今ではだいぶ減りましたが、金額重視で質の悪いアイテムに名入れをしたノベルティなど、一昔前は大量に出回っていました。
ノベルティカフェは、すぐに捨てられるノベルティからの脱却を目指して立ち上げたサービスです。
どうせお金と時間を使ってつくるなら、こだわったものづくりをしたい。そして、受け取った人に満足して長く使ってもらえるものにしたい。
そんな思いで、お客さまとやり取りをしながら制作しています。
印刷職人さん、刺繍業者、本革の加工工場など、長年お付き合いしている取引先のことは、本当に信頼しているし、こういった仲間をもっと増やしていきたいと思っています。
蕎麦打ち職人さんの説明を聞きながら、これは間違っていなかったのだと確信することができました。
ノベルティカフェは、これからもクラフトマンシップを持ったものづくりをしていきます。