「Tシャツくん」でTシャツとトートバッグにシルク印刷をしてみました

シルク印刷や転写を社内でやっている理由

先日、1個からシルク印刷ができるようになったという記事を書きました。

今回は、実際に印刷している模様をお届けしたいと思います。

その前に、そもそもなぜシルク印刷を社内でやってみようと思ったのかを少しだけ書きます。
実は、1個からのご注文を積極的に受けたいから、というわけでもないんです。

理由は、実際にやってみることで印刷方法について詳しくなりたかったから。

お客様から商品作成のお問い合わせいただいた際に、できるだけ早くご要望を汲み取ったお返事をしたいと思っています。
品物を仕入れて名入れをする場合、完全オリジナルで製作する場合、どちらにしても実際に手を動かすのは私ではありません。印刷の職人さんだったり、布や革の縫製工場であったり・・・。
そのため、詳しくは確認してお返事することになります。
具体的に製作に入る前の確認や、滅多にやらない難しい案件に関しては、実際に製作をする担当者としっかり打ち合わせをしていくことが大切です。

しかし、お客様からの質問すべてをお待たせして確認をとっていては時間がかかって仕方ありません。
お電話でのお問い合わせもいただくことが多いので、その際は特にお待たせできません。
そこで、基本的なご質問に関してはすぐにお答えできるようにしたいのです。

もちろん適当にお答えするわけにはいきません。
そこで、取り扱いする商品や印刷技法、ラッピング方法などに関してはつねに新しい情報を取り入れて、できるだけ詳しく知っておきたいと思っています。

Tシャツくんでのシルクプリント〜製版〜

では、印刷の様子を見ていただきましょう。

使ったのはこちらの「Tシャツくん」というキット。
太陽精機さんから発売されているおうちで簡単にシルクスクリーンプリントができる優れものです。

まず、デザインを専用の用紙に出力します。普通に紙にプリントアウトするのと同じです。
今回はご覧いただいているサイト、Novelty Cafeのロゴでつくってみることにしました。

その紙にスプレー糊を吹きつけます。
のちほどスクリーンの幕に貼り付けるためです。

同時にスクリーン版の準備をします。
ここからしばらくの行程は紫外線の当たらない場所でやることが大事!
初回は夜に作業をしたので、部屋の中で何も気にせずやりました。
が、2回目。昼間にやろうとしたら大変!
簡単なようでとても難しいのです。ドアの隙間とかちょっとしたところから紫外線は入っています。
できるだけ完全にシャットアウトできる場所を選ぶか、日が沈んでから作業したほうが良いでしょう。

枠にシルクのシートをピンと幕のように張って版をつくります。
ゆるんでいると綺麗に印刷ができないのでピンと張るようにするのがポイント。
この作業は難しいかと思いましたが、Tシャツくんの枠が良くできていて説明書通りに対角線からネジを閉めていくと自然とピンと張れます。

次にこの版にさきほどの糊がついた用紙を貼り付けます。

やっと製版機の登場。
マットの上に枠を乗せて蓋を閉めます。
そしてスイッチオン。

まつこと1分ほど?スイッチのランプが消えたら完了です。

取り出して用紙を剥がします。
なんの変化もありません。
ちょっと不安になります。
もしかしてやり方を間違えていて何もできていないのでは??

不安を感じながら次の行程へ。

水をつけながらブラシでごしごし。

先ほど機械の中で、シルクの幕で絵柄がかぶった部分だけが感光して変化しています。
ごしごしすることで、反応した部分を取り除いていきます。
そうすることで印刷したい部分のみメッシュ状態になった版ができあがります。

この作業は丁寧にやさしくやるのがポイント。
こすりすぎると剥がしたい部分以外も擦れて穴があいてしまいます。

うまく抜けているのが確認できたらドライヤーで乾かします。

これで版が完成。
しっかり乾かしたらもう水つけてこすっても剥がれません。
紫外線に当ててももう大丈夫です!

Tシャツくんでのシルクプリント〜印刷〜

版ができたら印刷です。

白いTシャツとトートバッグにやってみることにしました。

まずTシャツ。
版を印刷したい位置にセット。
印刷したいデザインの上部にインクをおきます。

インクのある部分からスキージーと呼ばれる板で下に向かってインクを伸ばしていきます。
先ほどこすり落としたメッシュ上の部分からインクが下のTシャツにつくことになります。

このインクの量、最初はどのくらいが適量かわからず悩みました。
なんとなくこのくらいかな?という量を置いてみましたが、結果、足りなかったようでかすれてしまいました。
インクを足して何度かスキージーを動かします。

ドキドキしながら版を外してみると、こんな感じ。
きれいに印刷できています!

次にバッグ。
こちらも同じ工程で印刷します。インクはグリーンに変えてみました。

インク量はさきほどの反省を生かしてたっぷり目に。
そして、スキージーを往復させるともたついた印象に仕上がるのがわかったので、力強く一度で印刷。
すっきりと綺麗にしあがりました。

どちらもインクが乾いたあとにアイロンをかけて仕上げます。

これで洗濯しても落ちなくなるのだそうです。

こちらも完成品はこんな感じ。
かわいく仕上がりました。
実はこのバッグ、この後毎日持ち歩いています(笑)

名入れに関して、版づくりや、色替え、多色刷りの難易度を知ることができました

今回実際にシルク印刷をやってみて、いままでシルク印刷を職人さんにお願いしてなんとなく理解していたことが、身をもって体験できました。

例えば、小ロットで注文すると高くなること。
当たり前のことですが、やはりシルク印刷において版作りにかかる時間は長いです。
またスクリーンの価格もインクに比べて高額です。

また、同じ版で色替えするよりも、多色刷りのほうが価格があがります。
これももちろん知っていましたが、やってみるとよくわかりました。
色替えは私も今回同じ版でTシャツとバッグにやってみましたが、ふき取ったり乾かしたりで対応できます。
しかし、多色刷りの場合、版を何個もつくらなければならないし、それをずれないように印刷する必要があります。手間のかかり方がまったく違いました。

職人さんや工場の方とは比べ物にもならない簡易なキットでの製作でしたが、今後ものづくりをする上で少しでも役にたてば良いと思っています。

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