まずはやってみる。ものづくりの現場で学んだ3つの言葉
先日、東京に工場を構える印刷会社さまを訪れ、打ち合わせとともに工場見学をさせていただきました。
そこで専務の方から頂戴したいくつかのメッセージが印象に残っています。
「やってみると次に進む」「自分のセンスを入れない」「リアルを知ること」。
この言葉には、みなさんが仕事の参考にしたくなるような価値観も込められていると思います。ノベルティカフェとしても、日々の制作活動の中で大切にしたい想いを、改めて考える機会をいただきました。
そこで今回は、印刷工場の見学を通して得た気づきと、ノベルティカフェのものづくりへの姿勢をお伝えします。
難しい仕事を断ることは簡単。でも「やってみると次に進む」
この日、都内にあるオフィスと工場が併設されたビルに入った私たち。今回対応してくださる専務が出迎えてくださいました。
今回の第一の目的は、打ち合わせです。お客さまからご依頼いただいたノートが好評だったため、さらに良いものにするために、紙見本を見ながら一緒に改善策を考えていただきました。
「紙を扱うからこそ、私自身もいろんなノートを試すんです」
そう語る専務の目は、キラキラと輝いていました。
ボールペンや万年筆での書き心地の違いを熱く語る姿からは、単なる「印刷会社を率いる存在」という枠を超えて、製品一つひとつの「使いやすさ」を追求する探究者のような顔にも見えました。
とにかく、ご自身の純粋な興味や熱意を強く感じたのです。
その後、見学のために工場内に足を踏み入れます。フロアでは、職人さんたちが製本作業を進めていました。
周囲には、お子さんが生まれた記念の絵本や、両親への感謝を込めた結婚式用の絵本など、一つひとつに特別な物語が詰まった作品たちがありました。
詳しく話を伺うと、現在は社として、ストーリーを自由にカスタマイズできる絵本を開発しているのだそう。家族だけが分かるエピソードに感謝の言葉を添える、特別なプレゼントとして人気が高まっているといいます。
その話の中で専務から「できないと断ることは簡単。でも、やってみると次に進むんです」という言葉が出てきました。
装丁の上質さを保ちながら、予算面で負担をかけすぎない方法はないか?
お客さまが求めるかたちを目指して試作品をつくったり、実際にお客さまの反応を確かめたり…。行動する中で見えてくる最適解があるのだ、と。
この前向きな発想こそが、専務の仕事への基本姿勢なのでしょう。
私たちが見本紙をもとに、ノートの紙をいくつか選択した際も、その場ですぐに担当者へ手配の電話をかけていました。この行動力もまさに「やってみる」精神そのものですよね。
ものづくりに向き合うために「自分のセンスは入れない」
工場の別フロアでは、年末年始のご挨拶用タオルに名入れを行う職人さんの姿がありました。
丁寧に印刷位置を仮止めし、転写熱で黙々と仕上げていく…。その様子に見入る中で、改めてものづくりは手作業の積み重ねなのだと実感しました。
さらに、御朱印帳の制作現場も拝見!
実は訪問時、印刷会社さんの入り口にずらっと並べられた御朱印帳の数々に目を奪われていた私たち。
写真からも分かる通り、実に多彩なデザインが揃っています。
- 繊細なレース模様を思わせるかわいらしいタイプ
- パステルカラーで配色された、柔らかな印象のデザイン
- 黒や赤を基調とした、シックで重厚感のあるもの
そんな豊かなバリエーションを持つ商品開発の裏側で、専務から意外な言葉が飛び出しました。
「自分のセンスや意見は入れない。今の人が求めているものは若者に任せた方が良い」
…長年の経験から得られた、ものづくりへの深い洞察が込められていますよね。
ご自身の経験や好みを前面に出すことなく、むしろデザイナーや企画担当に託す。さらに、専務として「少しでも意見を言うと、無意識に私への忖度が働いてしまう」と気遣うその姿。すべてに、社員のみなさんへの信頼と敬意が感じられました。
チームの可能性を信じ、個々の才能を最大限に引き出す。そんなチームづくりの理想まで、この場で学ばせていただいたように感じます。
ただし、もちろん丸投げをしているわけではありません。
工場を歩けば、すれ違う社員さんたちから次々と相談が寄せられ、それにひとつひとつ丁寧に応えていく専務の姿がありました。現場全体をしっかりと把握しつつ、任せるところはしっかり任せる。
このように、全てを把握しながら適材適所を見極める専務だからこそ、私たちのつくるグッズ、ノベルティにも社内の知恵とアイディアを結集して提案してくださるのでしょう。
改めて、このような取引先とともにものづくりができることに感謝しつつ…私たちもその想いにしっかりと応えたものづくりをしていきたいと思いました。
使いやすさの判断は「リアルを知ること」が大切
工場見学を終え、会議室での歓談の中で、ワンちゃん、猫ちゃんの飼い主さん向けグッズについての話題が出ました。
そこで専務さんが語ってくださった言葉が印象的でした。
「リアルを知っている人しか、使いやすさの判断はできない」
例えば、愛犬との散歩に持っていくバッグのサイズ感や使い心地。そこには、実際の生活シーンで使ってこそ分かる不便さや工夫のしどころがある、とのこと。
私たちも、この言葉に深く共感しました。なぜなら、グッズやノベルティをつくる際、サンプルを実際に手に取って初めて気づく「使いやすさ」の発見が、たしかにあるのです!
以前、トートバッグを制作した際には、2パターンの形を持ち比べながら「どちらが使いやすいか?」を確認し合ったこともあります。そして素材を触りながら、肌に触れた時の感覚も検討しました。
その経験が、専務の言葉とともに呼び起こされ、「使う」という行為は商品開発における最もリアルでたしかな羅針盤なのだと改めて気づかされました。
…余談ですが、ノベルティカフェのオフィスには犬がいます!
うららかな午後
— 池田 実加/(株)Le Plan代表取締役社長 (@mikaikeda6) November 13, 2024
の、犬たち pic.twitter.com/qyBXpBp3LR
お散歩用バッグや雨の日に使える小ぶりなタオルなど、ノベルティカフェでは「リアルな飼い主目線」でのご提案ができます。そんなご相談も、ますます楽しみになりました。
お客さまの目指す先を考えながら、前向きに行動する
今回、印刷会社の工場見学を通して、改めて心に刻んだものづくりの心構えを整理してみます…!
・難しい仕事を断ることは簡単。でも「やってみると次に進む」
・ものづくりに向き合うために「自分のセンスは入れない」
・使いやすさの判断は「リアルを知ること」が大切
現場の声に耳を傾け、実践から学ぶ謙虚さ。一歩踏み出す勇気、商品の本質を見極めて進める姿勢。
専務の言葉の数々は、ものづくりに向き合う真摯な姿勢、より良いものを生み出そうとする情熱の現れなのだと感じました。そして何より、この3つの言葉には、お客さまの想いに寄り添おうとする温かな心が込められているようにも思いました。
ノベルティカフェは、熱い思いを持った全国の取引先のみなさまとともに、お客様一人ひとりの想いに寄り添ったグッズやノベルティ制作をしています。
今回の訪問で学ばせていただいた姿勢を胸に、これからも「まずはやってみる」という前向きな気持ちを大切に…。そして、みなさまの大切な想いを「ものづくり」という方法でともに育んでいきたいと思います。